都営地下鉄12号線(都営大江戸線)

概要

都営大江戸線は、東京都市圏の地下を走る全長41kmの環状鉄道です。14年にわたる建設期間を経て2000年12月に開業し、複雑に入りくむ東京の地下鉄ネットワークをさらに充実させました。新宿副都心と両国を環状で結ぶと共に、更には新宿副都心から練馬区光が丘まで延伸したことで利便性が飛躍的に向上し、沿線地域の経済活性化にもつながっています。

技術的特徴

大江戸線は、地下鉄路線のさらなる過密化を防ぐため、地下15mから48mに建設されました。世界でも最も深部を走る鉄道のひとつです。建設費用を抑えるため、トンネル断面の外径はわずか5.3mと、従来の地下鉄トンネルより約2m小さく設計されています。動力にはリニア誘導モーターを用いており、最小半径102mの極めて急なカーブも走行可能です。
また、地盤条件が良好な区間では、トンネル覆工にボルトレス工法が採用されています。覆工セグメントは、隣接するセグメント間をほぞ付き継手で連結しています。この工法は日本での鉄道トンネル建設において、初めての採用となりました。

技術的特徴

日本シビックコンサルタントの役割

本プロジェクトは設計・施工一括発注方式(DB方式)で建設が進められました。私たちは、ボルトレスセグメントを用いたトンネル区間のほぼ半分で、セグメント覆工設計および現場工事監督を務めました。同区間では、全体設計およびコンセプトの構築においても中心的な役割を果たしました。 これは私たちのシールドトンネル設計に関する豊富な経験を評価されたものです。

■都営大江戸線トンネルのセグメント覆工

都営大江戸線トンネルのセグメント覆工

東京湾アクアライントンネル

概要

東京湾横断道路は「東京湾アクアライン」としても知られ、神奈川県川崎市から東京湾中央部を横断して房総半島の千葉県木更津市へと至る、全長15.1kmの海上横断道路です。アクアラインがなければ、東京都心を経由して100kmもの道のりを移動しなければなりません。主要な産業拠点である両エリアをわずか15分でつなぎ、物流コストの低減に大きく貢献しています。首都圏広域道路網の渋滞緩和にも役立っています。

東京湾アクアライン

技術的特徴

アクアラインは、全長9.5kmのシールドトンネル(東京湾トンネル)及び接続部に浮かぶ人工島と木更津側を結ぶ全長4.4kmの橋梁とで構成されています。シールドトンネルの外径は、自動車交通用の海底シールドトンネルとしては世界最大級を誇ります。セグメント外径は13.9m、内径は11.9mで、片側2車線を確保しています。

技術的特徴

日本シビックコンサルタントの役割

私たちは、海底トンネル設計において、基本計画から詳細設計までの全てに携わりました。詳細設計では、セグメントを用いた覆工構造の設計を担当しました。設計にあたっては、高水圧および接地圧にいかに対処するか、海水の漏水をいかに防ぐかという難題に直面しました。さらに、海底での地震活動を考慮して、耐震性も兼ね備えた設計にする必要がありました。そこで、覆工用セグメントの組み立てには長ボルト方式を採用し、トンネル覆工への海水浸透を防ぐためセグメント連結箇所に沿って特殊なシーリング対策を施しました。

アハメド・ハムディ・トンネルの改修
(スエズ運河下の道路トンネル)

概要

アハメド・ハムディ・トンネルは、スエズ運河の下を横断する自動車道路トンネルです。元々はシールドトンネルとして1983年に英国政府により建設されました。全長は1.63km、外径は11.6mです。

完成後間もなく、鉄筋コンクリート覆工部分から海水が漏水していることがわかりました。海水はまたたく間に鉄筋を腐食させ、コンクリートの劣化が進行して、トンネル覆工の深刻な劣化を引き起こしました。

これに対し、日本政府はエジプト政府の要請を受け、本トンネルの改修工事を実施しました。

スエズ運河の下を通るアハメド・ハムディ・トンネル

日本シビックコンサルタントの役割

1992年、日本政府の無償資金援助により、トンネルの改修プロジェクトが始まりました。私たちは、日本工営とともにジョイントベンチャーを設立し、日本政府の要請を請けて本プロジェクトに参画しました。私たちはトンネル覆工の劣化状況を調査し、適切な改修方法の決定、設計、現場工事監督、そして監視・保守システムの導入に至る業務を行いました。

改修方法の技術的特徴

トンネル内への水の浸入を防ぐため、厚さ2mmの防水シートを既設のトンネル覆工内部に敷設する必要がありました。そこで、トンネル内に溜まった水を抜くポンプ排水システムをトンネル底部に設置した後、新旧の覆工体の間に防水シートを挟み込むかたちで、一次覆工内面に鉄筋コンクリートの二次覆工を施しました。二次覆工は構造上、既設のトンネルセグメントから独立した設計としました。

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