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トンネル工法の種類・トンネル設計

How to tunnels

トンネル工法の種類

トンネルをつくる工法は基本的に4つあります。

普段の生活の中で目にする、さまざまなトンネル。どうやってつくっているか想像したことはありますか?地下を走り、山を貫き、海底をひた走るバラエティー豊かなトンネルの数々は、技術者たちの知恵の結晶でもあります。ここでは、基本的な4つのトンネルのつくり方を紹介します。

4つのトンネル工法

工法の名称 適用現場 特徴 トンネル形状
平地 海・川
沈埋工法 X X ◎ 海洋の浅深度部で採用。大規模構造物施工。 トンネル形状
山岳工法 ◎ ○ △ 主に山間部で採用。シールド工法より安価。 トンネル形状
開削工法 X ◎ △ 施工時、地上を占用。最も安価。都市部で基本的な工法。
複雑な構造物(駅部等)にも対応可。
トンネル形状
シールド工法 ◎ ◎ ◎ 主に都市部で採用。周辺への影響最小。
施工期間が短い。最も高価。
トンネル形状

函体をつくって海に沈める[沈埋工法]

沈埋(ちんまい)工法とは文字通り「沈めて埋める」トンネルエ法です。海岸に隣接している、ドライドックと言われる場所で、まずは海底に沈める函体(トンネル本体のブロック)をつくります。函体の完成後、船で曳航基地まで曳航し、あらかじめ海底に掘った溝に順番に沈め、埋めて完成します。言葉にすると簡単そうに聞こえますが、とんでもない!日本で沈埋工法をつかったトンネル設計ができるのは、日本シビックコンサルタントを含めて数社しか存在していません。また世界的に見ても非常に難易度の高い工法で、日本の技術が世界のスタンダードになっています。日本での施工実績も数少ないのですが、夏季オリンピックTOKY02020の物流を支えるために建設された東京港海の森トンネルは沈埋工法でつくられています。

海岸に隣接したドライドックで函体をつくる
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海岸に隣接したドライドックで函体をつくる
ドックに水を入れて船で曳航する
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ドックに水を入れて船で曳航する
曳航基地に到着
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曳航基地に到着
海底に掘った溝に順番に沈める
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海底に掘った溝に順番に沈める
海底に埋めて完成
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海底に埋めて完成

自立する岩盤を掘り進める[山岳工法]

山岳工法は主に山間部のトンネル工事に採用される工法です。掘削した直後には岩盤が崩れないことを前提として、掘削した部分にトンネルの崩落を防ぐための覆工をつくりながらトンネルをつくります。最近は、岩盤にロックボルトと呼ばれる鋼製の棒を打ち込み、岩盤にコンクリートを吹き付けて安定させるNATM(ナトム)が用いられることが多くなってきました。この工法は、掘削している岩盤の状態を直接みることができるという特徴があり、一般の方にもよく知られていますが、実はその難しさはあまり知られていません。例えば「山はね」と言って、地中に蓄えられたエネルギーが掘削により解放され、岩盤の一部が一気に飛び出す現象に遭遇することもあります。こうした事故を防ぎ安全に工事を進めるためには、専門家の知識と経験が何よりも大事です。

岩盤を専用の重機で掘る
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岩盤を専用の重機で掘る
鉄骨やボルトで崩落を防ぎコンクリートを施工して完成
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鉄骨やボルトで崩落を防ぎコンクリートを施工して完成

地上から掘る[開削工法]

士留め壁と呼ばれる壁を施工し、地上から掘り進め、できた空間にトンネルをつくり、最後に埋め戻す工法です。地上から掘るため、ビルが立ち並ぶなど、地上が密集した都市部では難しい工法ですが、低コストで工事できるため、地上に構造物が少ない場合には開削工法が選ばれることが多いです。ただ、都市部においても、道路の分岐・合流部などの複雑な構造物を地下につくる場合は、開削工法で施工することがあります。例えば都市部の再開発現場などで、道路の上に広範囲の鉄板が敷かれている光景を見たことがあるでしょうか。もしかすると、その下では開削工法によって地下構造物の建設が行われているかもしれません。見かけた際は、注意して観察してみてください。

土留壁を設置し、掘り進む
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土留壁を設置し、掘り進む
できた空間にトンネルをつくる
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できた空間にトンネルをつくる
最後に埋め戻して完成
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最後に埋め戻して完成

シールドマシンで掘る[シールド工法]

シールドマシンという機械で地山を掘り進める工法です。まず、スタート地点とゴール地点に立坑(たてこう)を掘り、発進立坑の中でシールドマシンを組み上げ、スタートからゴールの到達立坑まで土を掘っていきます。土を掘ると同時にシールドマシンの内部でセグメントと呼ばれる円弧状のブロックを組み上げ、トンネルを構築します。山岳工法と異なり止水性が高く、開削工法のように地上を占用しません。また、周囲への影響を最小限にできるため、都市部におけるトンネル工法として用いられることが多いです。例えば新名神高速道路の枚方トンネルもシールドエ法で掘り進めており、外径は17.4mと世界最大級。トンネル設計を担当したのは、日本シビックコンサルタントです。

スタートとゴールに二つの立坑をつくる
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スタートとゴールに二つの立坑をつくる
立坑の中でシールドマシンを組み立てる
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立坑の中でシールドマシンを組み立てる
ゴールまで掘り進める
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ゴールまで掘り進める

トンネル設計

そもそも、トンネルってどんな流れで設計しているの?

トンネル設計は、一般に「1.概略設計」「2.予備設計」「3.詳細設計」の3つの段階に分けて進めていきます。つまり、「設計」は一度ではなく、段々と積み上げて最適なものとなり、工事ができるようになるのです。

  1. 概略設計

    主に「トンネルの最適な大きさやルートを決める設計」です。

    ひとくちにトンネルと言っても、トンネルには道路や鉄道、上下水道、通信など様々な用途があります。その用途に合わせて最適なトンネルの大きさを検討し、トンネルを通す地域の地盤条件、周辺環境、施工性、経済性などを考慮して、最適なルートを決めるのが概略設計です。この段階で、事業が成立するための条件を整え、次の予備設計で留意すべき事項を「申し送り」として引き継ぎます。

    概略設計
  2. 予備設計

    主に「トンネルの構造や施工方法を決める設計」です。

    概略設計で決定した内容をもとにして、より具体的な設計に入ります。周辺環境に配慮した施工方法、適切な工費・工期などを考慮して複数案の検討を行い、最適なトンネル構造を選定し、必要な図面や設計計算書などを含めた報告書を作成します。例えば、道路トンネルの場合、トンネルの出入り口の位置、トンネルの換気方式、トンネル施工方法などを複数案で比較検討し、最適案の図面やコストを「概略設計」よりも詳しくまとめます。

    予備設計
  3. 詳細設計

    主に「工事を発注するための設計」です。

    「予備設計」で決定した大枠にしたがって、構造計算などを行い、工事を発注するために必要な詳細な図面や数量計算書などを作成します。その他、施工計画図なども作成します。詳細設計は、実際に施工会社が工事を行うための基本的な資料となり、また、発注者が正確なコスト算出を行うための「積算」の資料にもなることから、とても重要な設計です。

    詳細設計
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