

覚悟を決めて挑んだ経験が、
自分の財産になった。
覚悟を決めて挑んだ経験が、
自分の財産になった。
やり遂げたら、自分にとって大きな経験になる。
覚悟を決めて挑んだプロジェクト。
そもそも、トンネルに興味を持ったきっかけが人とは少し違うかもしれません。高校時代から物理が好きでした。計算によって解答を手繰り寄せる思考の過程が好きだったんです。特に、数学などの理論分野よりも、構造計算など実務的に役立つ計算の方が面白いと感じていました。だから大学では土木を学び、就職先に、構造計算が重要なトンネルの設計ができる日本シビックコンサルタントを選んだんです。
計算という得意分野を活かせる仕事がしたい、それだけでこの世界に飛び込んだのですが、自分の世界観を広げてくれるたくさんの仕事に出会いました。中でも思い出に残っているのは、入社7年目に担当し、数年に渡り関わった関西の道路のシールドトンネルプロジェクトです。
関西地域の環状線のシールドトンネルプロジェクト。完成すれば、渋滞の解消など地域に大きな波及効果があります。技術的にも難易度の高いこのプロジェクトのメイン担当を任されたのが私でした。入社以来ずっとシールドトンネルの仕事をしてきましたが、これほど大規模なシールドトンネルの設計を任されるのは初めての経験で、不安はありました。でも、それ以上に「これをやり遂げたら大きな経験になる」という気持ちが大きく、覚悟を決めて挑みました。

トンネル設計の“マニュアル”に疑問を抱いたことが光明に。
設計には数多くの課題がありましたが、中でも最大の難関はトンネルに作用する荷重の条件でした。というのも、今回のトンネルは将来想定される荷重がとても大きかったのです。大きな荷重で設計すれば、その分トンネルも重厚になり、コストが嵩みます。この想定のまま進めていくと、プロジェクト自体が予算超過となり実行不可能になってしまうかもしれません。どうすればいいのか……突破口を探る日々が始まりました。
この設計は、トンネルを設計する際の基本的な考え方が示されている「標準示方書」に則って行っていました。「標準示方書」とは、いわゆる設計のマニュアルのことです。
でも、このマニュアルをそのまま使っていいのか、という疑問が浮かんだんです。そこで、プロジェクトに関わる全員で話し合い、同じような深さで非常に硬い地盤のトンネル事例をたくさん調べていきました。すると、マニュアルに書かれていないけれど、「これは使えるのでは」という設計の工夫点が見つかってきたんです。これらの工夫点を取り入れ、最終的に当初よりも低コストで施工できる設計を導き出せました。「これならいけるかも」という、一筋の光が見えた瞬間でした。
ただ、問題はそれだけではありません。なにしろ大規模なプロジェクトですから、最終的な設計案は、大学の先生などで構成された有識者委員会の承認を得る必要があります。なぜ、マニュアルとは違う設計手法を採用したのか、果たしてそれで安全性が保証できるのか、委員会を説得しなければゴールには辿り着けません。そこで、説得のための書類をつくり、何度も委員会で説明をするのですが、なかなか承認されません。説明を行うたびに、何度も「ここはどうか」とか「この点がまだ不十分」といった指摘を受け、肩を落として帰る日々が続きます。何度も設計案を持ち帰ってはメンバー全員で指摘された問題点を修正し、再挑戦を繰り返しました。その結果、ようやく承認された時はすごく嬉しかったですが、気がつけば、設計案を作り始めてからおよそ2年ほどの月日が経過していました。


知識や技術と同じくらい、目の前の人に向き合うことが大事なんだ。
最大の障壁は、どうにか乗り越えることができました。まだこのプロジェクトは継続中ですが、自分にとってすごく大切な財産になりました。目の前の課題を一人で解決するのではなく、関わる全員の力で突破できたこと。また、委員会に提出する書類をお客様と一緒になって、それこそ何十回も、協力しながら作成できたこと。最後の承認を得た時にお客様からもらえた「本当にありがとう」という言葉の嬉しさ。数えるときりがないです。建設コンサルタントの仕事は、確かに知識や技術が大事です。でもそれと同じくらい、一緒に課題に立ち向かう人と、いかに理解し合い、同じ目的に向かって力を出し合えるかが大事なんだと、その時にあらためて実感しました。
このプロジェクトで課題解決する能力が鍛えられた結果、会社で最年少かつ女性で初めて技術士の資格を取得することができました。今はグループ長の立場で若手を育成しています。私たちの会社は、若手にどんどん仕事を任せる風土があります。若手ですから、最初のうちは緊張します。だからこそ、「自分が進めなきゃいけない」という当事者意識が生まれるんだと思います。私もそうしてもらったように、これからは、一緒に働く若手の成長をサポートしていきます。

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